2019年3月1日金曜日

胃カメラ図鑑

ピロリ菌陰性の正常像と、ピロリ菌陽性の異常像(慢性胃炎)を提示します。

学術的な画像が含まれますので、閲覧の際にはご注意ください。


正常像1…胃前庭部
この画像は胃の一番奥のところです。
粘膜の色調はほぼ均一で柔らかく、表面の凹凸が見られません。
中央の黒い穴から先は十二指腸となります。
光が入らないため黒く映ります。






正常像2…胃角部小わん
前庭部から少し胃カメラを引き抜くと、胃が折れ曲がっているところが映ります。
2枚とも粘膜の色調は均一で、表面の凹凸も見られません。粘膜のひだが自然な感じでヨレています。







正常像3…胃体部
さらに内視鏡を引き抜いていくと、胃の中央部になります。
ここを胃体部といいます。
粘膜の色調は均一で、十数本の縦に走る粘膜ひだは細く、レースのカーテンが、風に吹かれて、柔らかくヨレているようにみえます。








正常像4…きゅうりゅう部
胃の中央部で内視鏡の先端部を180度反転させると、胃の最上部が見えます。
1枚目の黒い棒は内視鏡です。
きゅうりゅう部は胃の壁が薄いため、網の目に走る血管がみえます(2枚目)。









異常像1…胃前庭部
次に異常像です。
ピロリ菌は陽性です。
胃の一番奥、胃前庭部です。
粘膜面の平滑さがまったく失われ凹凸が全周性に見られます。

組織検査では腸上皮化生(胃の粘膜が萎縮、脱落して、腸の粘膜が胃の中に生えてくる状態)で、胃がんの発生しやすい状況です。






異常像2…胃角部小わん
ピロリ菌、陽性です。
正常像で見られた柔らかなひだは消失して、表面は凹凸が目立ちます(1枚目)。
さらに炎症が進行すると、胃角の幅は厚くなり、表面の凹凸変形も増してきます(2枚目)。










異常像3…胃体部
ピロリ菌は陽性です。
胃の中央部、胃体部です。
1枚目は、ひだの表面は凹凸も無く、一見均一に見えます。
しかし、よく観察すると、魚の鱗のような亀裂が無数に走っています。
炎症が進むと、点状~斑状の発赤が一面に見られるようになります(2枚目)。
炎症がさらに進むと、ひだはむくんで太くなり、白濁した滲出液が浮き出て来て表面に粘着します(3枚目)。
正常像に見られる、レースのカーテンのような、細くて柔らかなひだは消失します。






異常像4…きゅうりゅう部
ピロリ菌は陽性です。
胃の最上部、きゅうりゅう部です。
右側の粘膜面は一面に赤い発赤斑がみられ、左側に白濁した滲出液がべったりと粘着しています。








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